PechaKucha Night Kirishima おしゃべりクソ野郎 伴走(ブラインドランナーズ鹿児島)

PechaKucha Night Kirishima Vol.2でしゃべってきました(永い言い訳)

<※9/9追記>公開された動画を貼りました。

先日開催されたPechaKucha Night Kirishima Vol.2でしゃべってきました。PechaKucha Nightとは1枚20秒×20枚のスライドという形式でプレゼンテーションを行うイベントです(wilipediaのぺちゃくちゃをご参照ください)。数年前に鹿児島で開催されたのを記事に書きましたが、6月に霧島市でも始まりました。

その第1回が終わった直後、いつもお世話になっているI兄さんから「鹿児島哲学カフェ」としてオファーを受け、開催2週間前に「やっぱり○○の話が聞きたい」と言われ、2週間みっちりイメトレをして本番に臨みましたが言いたいことの10分の1も言えませんでした。PechaKuchaは基本的にプレゼンの動画がアップされちゃうので私のグダグダ具合を動画でご覧になる前に私が何を話そうとしていたかをご紹介したいと思います。後日、公開される動画と併せて「10分の1やなくて100分の1やないか」など笑っていただけるとこれ幸いです。

何と言っても最大の問題は「20秒を舐めていた」という点につきます。そして私だけとても暑苦しかった、、、気がする。

ということで、すでに言い訳じみてますが以下は永い言い訳です(言い訳していいわけ!?なんて言わないでね♡)。

注:以下は事前に書いた原稿ではありません。事前に繰り返しイメトレしていたものを加筆・修正しております。

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自己紹介

皆さんこんにちは!鹿児島哲学カフェの能瀬と申します。今日私は、2つの目的があってこの場所に立っています。1つは今から紹介するあるものについて1人でも多くの方に知っていただくこと。もう1つは私の後にすごい錚々たるプレゼンターの方々が控えていますけど、トップバッターとしてこの会場を温めること。なので、皆さんどうぞ温かい目でお付き合いいただければと思います。

前フリ

先ほど「鹿児島哲学カフェ」と紹介いただいたんですけど今日は哲学カフェの話はしません。私、趣味がたくさんありまして今ここに出ているお菓子作りもそのひとつなんですけど、よく息子と一緒にお菓子作ったりしています。ちなみにお菓子作りの話でもないです。他にも献血、落語、読書、演劇、ブログ、マンホール、マステなどなどたくさん趣味があるんですけど

マラソンにはまってます

数年前からマラソンにはまってます。ずっと後ろから数えた方が早いくらい足は遅かったんですけど8年前に走りはじめて昨年サブ3.5を達成しました。これただの自慢なんですけど。そしたらちょっと燃え尽きちゃいまして、新たな目標として数年前から興味のあったあるものに挑戦することにしました。

写真が少ないので挿絵方式です

(服を脱ぎながら)それで私まだそれを初めて3ヶ月なもんですから写真が全然なくてですね、オーガナイザーのIさんにオファー受けまして「写真がない」って言ったら「得意の手書きで」って言うんですね。でも、私、保育士の資格持ってるんですけど1度絵で落ちてるんですよ。なのでここから何枚か私の描いた絵が出てきますので「これが保育士試験に落ちる絵か」と思いながらご覧ください。

伴走とは

Misato Michishita (Japan) - London Marathon 13.04.14 (64)

皆さん伴走ってご存知ですか?これは昨年のリオデジャネイロパラリンピックで銀メダルを取られた道下美里選手です。視覚障害があるので、伴走者がついています。こちらの伴走者の方は福岡県の大濠ブラインドランナーズのHさんとおっしゃいまして、今回このプレゼンをするに当たって写真のご協力をいただきました。

輪っかにした1本のロープを持って走りながら、視覚障害のあるランナーに安全と安心を届けるのが伴走者の役割です。

伴走導入時によくやる伴走される体験

皆さん、伴走って難しいと思われますか?私が初めて伴走をした時の話をします。先ほど話した通り数年前から伴走に興味を持っていたんですが、6月にようやく練習会に参加することになりました。福岡の友人の話だと、この絵のように初心者を対象にグラウンドでアイマスクを付けて視覚障害者の体験をしているということでした。

私の初伴走

初めての練習の日、集合場所のハートピアかごしまに行ってですね「あぁ、今日はこのグラウンドで色々と教えてもらうのか」と思ってたんです。そしたら、視覚障害者の方とペアを組まれて「初めての方と組んだ人は色々と教えてあげてくださいね」って言うんです。そして準備運動終わって「グラウンド走るんですか?」って聞いたら「いや外に出るよ」って。

意外とできちゃいます

そうして、私その日初めてだったんですけど10km走れちゃいました。

日本ブラインドマラソン協会のホームページを見ると初心者の場合「未経験であることを伝えて、基本的な伴走の技術や安全に対する注意事項を習ってください。何よりも視覚障がいの事を知ることから伴走が始まります。」と書いてるんですね。

レースでブラインドランナーをストーキング

じゃあ、なぜ私は走れちゃったのか。興味があったからですね。興味を持ち始めたからインターネットで調べたり、鹿児島マラソンでブラインドランナーの方をストーカーしたりしてどのようなことをするのかを研究していたからです。

では、次に伴走に必要なものを3つお話します。

伴走に必要なもの

まずは今私の着ているこのビブスですね。伴走する際は2人並んで走って幅を取るので伴走が必要だということをビブスで示します。もうひとつはこのロープ。上は私のパートナーので下は、道下選手のですが長さが違うのがお分かりいただけるかと思います。

伴走者が伝えること

最後のひとつが気遣いです。ブラインドランナーは目が見えないので音を頼りに走っています。写真見ていただければ分かるのですが、普段私達が歩いている道路って気をつけないといけないところがたくさんあります。「何m先、信号でとまります」「10m先から上り坂です」「マンホールがあります。滑らないように注意してください」「左カーブです」など、伴走者は声で情報を伝えます。いかに安全に、安心して走ってもらうかが伴走者の気遣いにかかっています。

やってみましょう

皆さんもちょっとやってみましょう。さて皆さんが伴走していたとして何と声かけますか?3秒で考えてください。きっと「○m先段差があります!」って言うんじゃないでしょうか?でもそれではダメなんですね。なぜなら上りと下りで動きが違うからです。なのでこの場合は「○m先、上りの段差があります」といった感じでしょうか。

こういった声かけもおそらく完全な正解ってなくって走る相手によっても、状況によっても変わってくるんじゃないかって思っています。先ほど誰にも教わっていないという話をしましたが、それが逆に良かったなと思うこともあります。

こういう場合は何て言う?

例えばこの絵を見てください。幅が広い道でブラインドランナー側を自転車が通る場合。

結構な余裕があるので初めは何も言いませんでした。すると、音を頼りに走ってますから自転車が近づく音で警戒するんですね。

そこで次は「左側、前から自転車とすれ違います」と言ってみました。そうすると、余裕があるのに私側に寄ってきます。

次は「左側、前から自転車とすれ違いますが、そのままで大丈夫です」これでOKでした。

試行錯誤しながらでいい

おそらく、人から「こういう場合はこう言って」と言われたらそれが正解になって、そうとしか言わなかったんじゃないかなと思います。何も教えてもらっていないからこそ色々と工夫しながら学ぶことができています。

目が見えないとはどういうことか?

せっかく「鹿児島哲学カフェ」として出ていますのでちょっとそれっぽい話もしたいと思います。

私は人付き合いが苦手ですが、他者に興味があります。自分が理解できないものを知りたいと思っています。なので、哲学カフェを開催して色んな人の話を聞いたりしています。伴走も自分の知らない「目が見えない世界」を知りたいから始めました。

距離をどうやって認識してるんですか?

練習会では色んな方と走るのですが、初めての練習の時にこんな質問をしてみました。「距離ってどんな風に認識してるんですか?」私は目が見えるので目に見える風景を元に「あそこまで100mくらいだ」とか地図をイメージして「今はあの辺りだから半分くらいだ」とイメージすることができます。ですので「このくらいのペースで○歩走ると△m」というような答えが返ってくると思っていました。

距離を認識していない?

するとこのような答えが返ってきました。よくよく考えると歩数なんて数えてらんないので当たり前なのですが、そのとき私が目の見えない方の世界を理解することはできないんだなと正直思いました。

よく「伴走はブラインドランナーの目だ」とか聞きますが、「目にはなれない。ロープを通じて一緒に走ることしかできない」と思いました。そんな風に思ってちょっと落ち込んでいたんですけど、また別の日に他の方と走っている時に同じ質問をしてみました。そしたらこんな答えが返ってきました。

一緒に走るだけでいい

「安心しきっているのでそんなことは何も考えていないです。私たちは普段自由に身体を動かすことができないので、こうして一緒に走ってもらえるだけでありがたいんです。」この言葉で私は救われた気がしました。「あぁ、いるだけでいいんだ。一緒に走ってればそれだけでいいんだ」って。視覚障害者の方々は普段、見えない世界で音を頼りに、いわばビクビクしながら生活しています。そこに誰かがいるだけで安心して走れるってすごいことだと思いませんか?

マイパートナー

これは私のパートナーです。20歳近く離れてますが良くしてもらっています。いつもペースが上がるとお互いのせいにしあってます。とてもストイックな方で私の方がいつも鍛えられてます。私めっちゃ楽しそうでしょ?

是非練習会に

最後にこれは、大濠ブラインドランナーズのHさんとやり取りする中で言われた言葉です。鹿児島にもブラインドランナーがいらっしゃいますが、伴走者が足りない状況です。速いペースで走る必要はなく、まずはウォーキングからでも構いません。少しでも興味を持っていただけた方、是非一度練習会に来てください。誰もが走りたい時に走れますように。

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※1箇所順番まで変えるという卑怯な手を使っています。が、最後の2枚目くらいに「あれ?1枚足りない」って感じになったのは順番を変えたせいだと思われます。

-PechaKucha Night Kirishima, おしゃべりクソ野郎, 伴走(ブラインドランナーズ鹿児島)