facebookで流れてきた気になっていたイベントに当日申込で急遽行ってきました。
VESPA INTERNATIONAL 補給の1st Step v1.3 講師:齋藤 通生(有限会社ネオディレクション) |
0.前提
・エンデュランスという観点から分類するとマラソンはトラック競技と同じ。
・そのためトレランやウルトラマラソンをターゲットとして話をします。
1.補給という行為
・補給するものは4つしかない(酸素、水、塩分(Na)、炭水化物
・後半足が止まるのは「練習が足りない」のではなく「筋肉中のエネルギーが枯渇」するから。「早く」「均等に」「動いている間」ずっと補給することが重要。
2.基本は普段の食事と生活 レースの補給はその延長
・よく栄養についての本などでレース当日の補給について書かれているが、年間12本出場するにしても12/365日の話でしかない。それ以外の普段353日の食事が重要。
・体内にキープしているエネルギーは体の大小や性別に関わらず2,000kcal。
うち75%の1,500kcalが筋肉内 25%の500kcalが肝臓と血液中
・どか食い、早食いはNG。ゆっくり、よく噛んで食べること。
・食事の割合は炭水化物:40%、タンパク質:30%、野菜・オイル:30%(後述のマフェトン理論によるもの)
醤油などの「酵素」も摂るといい。よく油は良くないという人がいるが、油はビタミンの吸収を助けるため必要
・寝てる間の炭水化物が一番太るので、夜は炭水化物を減らすとよい。
・合成物は肝臓に負担がかかるため「合成保存料」「合成着色料」「トランス脂肪酸」は
なるだけ摂らないほうがよい。
3.摂取量は自らを振り返る
1)酸素
ランニング誌でよく「胸郭を広げて」と吸うことにフォーカスしたことが書かれているが呼吸(正しくは換気)という観点でいうと吐くことの方が重要。苦しいと思ったら吐くことを意識するといい(能瀬注:私はレース後半「ハァ!!ハァ!!」と声を出すことにより息を吐く補助をしています)
2)水・塩分(Na)
研究によると発汗量は身体の大きさや体重等に関係なく、個々人によって違う。そのため自分の発汗量を知ることが重要。練習前に体重を測定。マフェトン理論に基づいて有酸素運動(詳細後述)で1時間走り、その後再度体重測定。減った体重の8割を飲む。例えば500mlが総量だとしたら、10分に1回100mlずつ小まめに摂取する。
塩分は塩分タブレット(写真の左)を走る前に1粒摂る(直前で良い)。その後1時間毎に1粒。
塩分は汗の量を変動させてないために摂る。塩分が足りないと滝汗。塩分が多いと汗が止まる。発汗量をみながら塩分の調整を。
3)炭水化物
・エネルギー消費量は運動強度によって変化する。
・体重50kgがサブ4ペースで走った場合に2時間半で枯渇する。
・うまくトレーニングすれば必要エネルギーの3割は体脂肪使える。
・必要エネルギーは体重×METZ×時間×0.7で計算
例:体重60kg 目標タイム10時間
60(kg) × 8(METZ) × 7(10h × 0.7) = 3,360kcal(必要カロリー)
1500kcalは体内に蓄えているため3,360kcal-1,500kcal=1,860kcal
1,860kcal÷10時間なので1時間毎に200kcalを目安に摂取すればOK。
・燃焼効率を上げる目的でアミノ酸を摂取する。VESPAでいうと体重60kg未満の人はEx-80、60kg以上の人はPROをスタート30分前に。
・胃が空になってストレートになると、空腹を感じてしまうので、3時間毎に何か胃に入れる。VESPAだとWASP OKANIC(写真の右)がおすすめ。
4)その他
・美味しくないと吸収が悪いという研究結果があるので、人に良いと勧められても、美味しくないものはNG。必ず試して美味しいと感じるものを使用すること。
・カフェイン:最近の研究で利尿効果はそこまでではないことはわかったが、過剰摂取にならないように気をつける。レース前48時間は摂取を控える。山本健一チームではカフェインなし。奥歯で噛む動作により覚醒力高まるのでそれで代用している。
・マグネシウム:足が攣るのに良いとされているが、マグネシウムは汗と一緒に出ていくわけではないし、下剤効果があるため定期的に摂取する必要はない
・BCAA:通常のプロテインより吸収が早いのが特徴なので、平常時はプロテインでOK。
レース前で急激に回復が必要な場合やレース後の疲労回復で使用。
5)カーボローディング
・あまり長くしない。最大36時間を目安に金曜の夜から土曜1日。
・1日の全体量を炭水化物中心にする。
・動物性脂肪や野菜は摂らない。
・オイルはNGと書いてある本もあるが、オイルを切らすと脂肪の代謝が悪くなるのでOK。
4.マフェトン理論(講義内では詳しく触れず。補足)
・有酸素運動をするつもりでも、頑張りすぎると心拍数が上がりすぎて無酸素運動になってしまう。
・マフェトン理論では心拍数が比較的低くなる「有酸素運動」を取り入れると体脂肪をエネルギーとして使える、持久力の高い身体を作れると考えた。
・有酸素運動と食事管理の組み合わせで身体はエアロビックベース(体脂肪を優先的にエネルギーとして消費出来る身体)に変化し、約3~4ヶ月程度で体の機能が切り変わるとされています。その結果、無酸素運動を行う場合に身体へのダメージを最小限に抑えられることが科学的に証明されています。
・マフェトン理論に基づくトレーニングの心拍数の公式は「180-年齢」。
病気の人は-10。怪我の人は-5。
・運動の前にはウォーミングアップを15分以上して徐々に心拍数を上げ、運動後にクールダウンを15分以上して徐々に心拍数を通常に戻します。
詳細はこちらのサイトを参照。