今まで読んだ近藤史恵さんの本の中で一番ミステリーっぽい作品。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストランで起こる事件を変わり者のシェフが解決していく。物語は同レストランのギャルソン高築智行の視点で語られる。
読み切り型の短い話が7つ収録されていてタイトルの「タルト・タタンの夢」はその内の1話。
ミステリーといっても気軽に読める。謎解きもさる事ながらフランス料理やワインの名が次から次へと出てきて、そちらも楽しめる。書き出しのクレープ・シュゼットに始まりシュークルート、タルト・タタン、ヴァン・ショーにガレット・デ・ロワ。フレンチに縁のない私にはチンプンカンプンだが嗜みの一つとして勉強になる。
どうやら私は近藤史恵さんの文調が好きらしい。このシリーズが何冊あるかは知らないが制覇したいものだ。
2007年10月30日 初版発行
出版社:東京創元社
212ページ
ISBN-10: 4488012280
ISBN-13: 978-4488012281
ブックデザイン:緒方修一
カバーイラスト・デザイン:谷山彩子、本山木犀