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019 阿刀田高『ストーリーの迷宮』


ストーリーの迷宮

またもや、図書館でブラブラしててなんとなく手に取った本。阿刀田高さんと言えば誰でも名前だけは聞いたことがあるだろうが、一度も読む機会に恵まれなかった。いや、ひょっとすると読んだことがあるかも知れないが覚えていないといったほうが正しいかもしれない。

読んだことはないのだが、愛聴しているpodcast「SUNTORY SATURDAY WAITING BAR AVANTI by TOKYO FM」で何度か耳にして、"日本の昔話や色んな国の話をおもしろおかしく喋るおっさん"というイメージだったのだけれどもどうも間違っていなかったようだ。

本書は、10篇の短い話を集めた短篇集。それぞれにモチーフとしている話がある。誰もが知っている、「雪おんな」から「修善寺物語」、「城の崎にて」といった日本の文学、「カルメン」「オンディーヌ」「宝石」といった海外の話まで本当に引き出しが多い。本書のタイトルは最後に綴られている話の題がそのまま採用されているのだが、どの話もモチーフとしている話との間を行ったり来たりしており、読んでいるうちにそのモチーフとしている話との境目が分からなくなり、まさにストーリーの迷宮に迷い込んでしまう。

元の話を知っているという人はその話との対比を楽しむことができるであろうし、どの話も読んだことのないという私のような人間も読んだ後にそれらの話を読んでみようという気持ちにさせらる。「古典や海外の話はちょっと苦手」という方はそういった本への入口として読んでみるのもいいかもしれない。

上述のPODCASTで阿刀田さんのエピソードは以下の4つで楽しめます。

vol.19 2006/08/05 作家の阿刀田高さんが語る、ギリシャ神話の意外な真実

vol.38 2006/12/16 直木賞作家・阿刀田高さんの、パーティージョークのお話。

vol.91 2007/12/22 作家・阿刀田高さんの日本のクリスマスのお話

vol.224 2010/07/10 作家・阿刀田高さんの「アラビアン・ナイト」のお話

2006年4月30日 初版発行
出版社:文藝春秋
227ページ
ISBN-10:4163248005
ISBN-13:978-4163248004
装画:民野宏之
装丁:大久保明子

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