劇団鳴かず飛ばず

【ネタバレ】劇団鳴かず飛ばず第18回公演『キッチンキタン』を観てきた

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劇団鳴かず飛ばず第18回公演『キッチンキタン』を観てきました。

初回の18日19時の回でしたが、中央公民館に設営された約150席はほぼ満席。おそらく鹿児島で一番お客さんを集める劇団ではないでしょうか。

今回は待ちに待った主菜(主宰ではない)米田脚本。長編での米田作品は第11回公演Chasing one another』ぶり。全体的な感想としては、ナカトバらしさが全面に出た、子どもから年配の方まで楽しめる公演だったのではないかと思います。食いしん坊の米田さんの食への愛が溢れており、あんなに長台詞で食材について語らせる芝居は見たことないですし、その瞬間の客席のキョトン具合がツボすぎました。

以下、感想です。

スピード感・演劇らしさの功罪

まずは全体的なお話から。公演終了後、駐車場に向かう途中で近くにいた年配のお客さんの話に聞き耳を立てていたところこんなことをおっしゃっていました。

「ダジャレが多すぎで俺にはついていけない」

今回の作品は私が観てきたナカトバの作品の中でも一番スピード感がある作品だったように思います。スピード感はナカトバの魅力のひとつではあるのですが、今回はそれが顕著だったと思います。

原因の一つに新しい試みに挑戦していたことがあったように思います。それは何かというと、これまでは場面展開時にお笑いトリオのコント(的なもの)で間を繋いでいたところを、今回は装置がうごめく中での小松くん扮する根藤の「語り」によって進行していきました(いやぁ、小松くんかっこいいっすよね。絶対小松ファン多いよね。)。そのことによって、休憩する暇がなかったように感じました。とてもスリリングである一方で、子どもやご年配の方々は集中力が持たなかったのではないかと思います。また、2時間ぴったりで終わったのには驚かされましたが、少しテンポが速すぎやしないかと思うところが多々あり、(おそらくわざとですけど)セリフが被るシーンでは違和感を感じました。私は少し耳が悪い&全体観たくて最後列に座ってたこともあるのですが、聞き取れないことが何度かあったのは残念でした。

もう一つに、いつもよりも"演劇らしかった”ように感じました。ここでいう演劇らしさとは一種の分かりにくさです。例えば、同じ演者が同じ衣装のままで他の人間の役をするだとか、その切替が衣装の紐を解くことによってなされるだとか(あれ最高にかっこよかったっすね)。あと、料理で戦うシーンも結局料理してんのか料理してんのか、わかんなかったっすね。

これは非常に難しい問題だと思います。おそらくナカトバは鹿児島で一番お客さんの入る劇団です。「演劇」というと他のエンターティメントに比べて敷居が高くなる中で、子どもから大人まで幅広く、また演劇関係者以外の方も多いのがナカトバだと思います。それは美男美女が多いということをはじめ、主菜の米田さんが地上波に露出している、作風が明るく観ると楽しい気分になるということもありますが、一番に"わかりやすさ"があるように思います(いや、一番は美男美女かもしれない)。

わかりやすければわかりやすいほど、わかりにくい芝居が好きな層は物足りなくなり、わかりにくくすると逆についていけない層がでてきてしまう。しかし、色んなことに挑戦してこそ新しい芝居ができるということもあり、鹿児島のトップランナーであるナカトバであるからこその悩みであり責任でもあるかなと思った次第です。

濃い味付けだらけで食傷気味に

今回、物語の中でこんな場面がありました。

後半で飢左衛門に月喰の面々が食事を振る舞ったところ、徳二郎の策略で味が強すぎて吐き出してしまい「味のバランスが取れていてこそ美味しい」的なシーン。今回の芝居はまさに「メインディッシュだらけのフルコース」「エースで4番だらけの野球チーム」だったように思いました。皆がうまくて皆が魅力的なことはとてもいいことだとは思いますが、ちょっと食傷気味になったというのが正直なところ。

これは、たぶん2010年の第8回公演から見続けていて皆のこと好きになり過ぎてるというのも関係しているとは思うので、初めて見た人はそんなこと思わないかもしれないのですが。。。今回主役は料馬&理香が主役だったわけですが、たぶん何も知らずに見ていたら根藤が主役だったと思った人多かった気がしますし、1話完結型の章立てしてあったことで、鞍馬も小匙もドン紀州も徳二郎も飢左衛門という感じで、すべての味付けが濃かったように感じました。

こちらもしょうがない部分で、先ほどのテンポの問題もそうですが物語的に2時間に収めるのは無理がある作品なのではないかという気がします。2時間の舞台の脚本ではなく、テレビドラマとしての方が楽しめるたのではないかと。

そのくらい、全てのキャラクターが魅力的でした。きっと米田さんもみんなのこと好きすぎるんですよね。宛書きしながらそれぞれの役者の魅力を最大限に描いちゃうんだろうなって思います。

ピークの向こう側

先ほども書いたように10年近くナカトバの舞台を見続けてきて思うことは、前回の10周年公演『七芒星』がナカトバの集大成でありピークだったのではないかと。私と同世代の方が多く、立ち上げ時点では20代前半。当時は女高男低だった演技力が、男性陣が場数によるものか人生経験からかとても落ち着いた味のあるものに。そして比較的最近加わった大城ちゃん、小松くんがいまや劇団の中心を担うほど成長しました(小松くんに関しては最初からうまかった気がしますが)。

その結果、今回みんな落ち着きすぎて、うますぎてハラハラ感が足りなかったのよね。なんかスムーズに進行することが優先されすぎている気がして、それぞれの役者の(ダメな部分を含めた)"らしさ"が消えていた印象でした。

鹿児島のトップを走るナカトバですが、トップたらしめているのはその練習量。これだけの人数が出る舞台で、驚くほど稽古を重ねています。最近のことは知りませんが、以前は日を跨ぐことがざらなほどで、まさに演劇バカの集まりでした。当時20代が大半を締めていた劇団が、30代となり人生のライフステージが変わっていく中で、どのようにナカトバらしさを継続していくのか。トレードマークのひとつであるハードな殺陣やアクションをいかに続けていくのか。これからも見届けていきたいと思います。

ナカトバだから観る

物語の中で「何を食べるかではなく、誰が作ったかが重要」というシーンがありました(あった気がします)。10年前に比べ、鹿児島の観劇人口は増えたように思います。一方で、劇団も増え公演数も増えています。他のエンターティメントが豊富にある時代に、スポーツや音楽のライブと戦わなければならない中で、お客さんに選んでもらうのはかなり大変なこと。そんな中で、おそらくナカトバは「ナカトバだから絶対観る」と思う人が最も多い劇団だと思います。ここまで何も分かっていないくせにうるさく書いてきましたが、私もそのひとりです。これからも出禁食らわない限り付いていきますのでよろしくお願いします。

そうそう、理香の「リョーマと一緒だから美味しいんだよ」というシーンも(こちらは確実にありました)。

これも演劇もおんなじね。ひとりで行くのも好きなんだけれど「リョーマと一緒だから美味しいんだよ」なんて言われた日にゃ、終わった後ひとりで食べたラーメンの寂しさったらなかったね。誰かと一緒に舞台観た後で感想語りながら味わいたかったなとつくづく思いました。

翌日 豚キムチ作った

キッチンキタン(キタンって話の中に出てこないけどなんだろうと思ったけど、おそらく奇譚からきてるのかしら)の中では色々な料理が出てくるわけですが、中でも豚キムチ食べたくなったって人が一番多かったようです。twitterで検索してみたところ、単純に日本全国の豚キムチ愛が顕になって笑いました。

というわけで、翌日夕飯に豚キムチを作りました。

おそらく我が家の食卓に豚キムチが上がったのは初めてだったのですが、あまりの旨さに取り合いに。

結果、物足りず追加で豚キムチをアレンジした焼きキムチラーメンを作ることになりました。

 

本公演に関するツイートまとめ

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