(2013年10月27日南日本新聞 書評欄「郷土発おすすめ」)
多様に育児楽しむコツ
わが家では「パパ」と呼ばせていないのでむずがゆいタイトルである。教科書と聞くと押し付けがましく感じるかもしれないが、「子育てには正解はなく、パパのあり方は多様性があってよい」とカバーに書かれているように、理想のパパ像を教えるものではなく、父親を楽しむコツが書かれている。
「イクメン」ということばが一時的にブームとなり育児に関わる男性が増えてきているものの、まだまだ定着とまではいっていない。その原因には、会社や上司、親戚に理解してもらえないという社会的なものや、法律的には男性も取得できるようになっている育児休業も収入面から取得に踏み出せないなど制度的なものもある。最たるは育児をしようにもやり方が分からないというパパが多いのではないだろうか。
本書では、パパの心構えから、パートナーシップのあり方、妊娠に関する基礎知識や子どもの発達段階のこと、教育資金に関する情報から育児休業の取得方法まで、先輩パパが分かりやすく解説してくれている。また、オススメの絵本やレシピ、子どもの喜ぶ遊び方など、これさえあればひと通りは理解できるだろう。しかし、育児は単純なものではないので、壁にぶつかることもあるはずだ。
そんな時に役に立つのが、パパネットワークである。パパ友を作ることで育児の不安を相談したり、困ったときには助けあえる。また、仲間ができることでより一層育児を楽しめるようになる。というわけで、私もパパ友募集中です。
本書の対象はプレパパ(出産前)から3歳までの子を持つ父親とされているが、そうでない方にもぜひ読んでいただきたい。女性にも手に取ってほしいし、「男性が育児なんて」という世代の上司の机にこっそり置いておくのもいいかもしれない(その結果怒られても責任は負えないが)。妊娠の報告の際にパートナーにプレゼントして一緒に読むのも素敵だと思うがいかがだろう。
2013年10月15日 初版発行
出版社:学研教育出版
175ページ
ISBN-10:4058001291
ISBN-13:978-4058001295
カバーイラスト:高村あゆみ
カバーデザイン:星光信(Xing Design)