能瀬と読書 能瀬の読んだ本

2014_002 穂村弘『蚊がいる 』

投稿日:2014年1月4日 更新日:

by カエレバ

 

ほむほむが好きだ。にわかだと言われたら否定できないが、ほむほむが好きだ。周りの若い子がtwitterで「ほむほむ~」とつぶやいてたので「これを読めばモテるのか」と思ったのが手にとったきっかけだったが、それを差し引いたとしてもほむほむが好きだ。ちょっと前までは島耕作に憧れていた。しかし、ある日気づいてしまった。上場会社に勤めてるわけじゃないし、仕事だけ(それとSEX)の人生は自分には向かないと。組織人として大成する性格ではないと。そして、持ってたコミックを全部売った。ちょうどその頃初めてほむほむの『絶叫委員会』を手に取った。女々しい。盗み聞きしすぎ。モテないらしい。運動音痴らしい。コンプレックスの塊。サラリーマンなのに歌人。おら、この人好きだ。

島耕作的な生き方よりも穂村弘な生き方のほうがどうやら私にはヒットしたらしい。常に苗字で呼ばれているところも親近感を覚える。「ほむほむ」もしくは「ほむらくん」。自慢ではないが(自慢にもならない)生まれてこの方、家族or恋人以外に下の名前(もしくはそれをもじったアダ名)で呼ばれたことがない。だいたい「のせ」かそれをもじった「のせら」「のせっち」「のせぴー」「のせごん」「のせぷん」「のせっぷ」だ(唯一、大学時代は「じょん」だった。理由は個別に聞いてください)。つまり私には家の外で「ひろゆき」のアイデンティティがない。たぶん、ほむほむも同じだろう。「ひろし」のアイデンティティは乏しいはずだ。

しかし、私がほむほむに近づくには2つの大きな壁がある。「ほむほむ」みたいなかわいい呼ばれ方をしたいけど、さすがに「のせのせ」はかわいくないし呼びづらい。「じょんじょん」と呼ぶ子がいたが、そもそも初対面の人に毎回「じょん」の由来を説明するのが億劫だ。さらに大きな壁は文章力だ。あんなチャーミングな文章は私には書けない。いや、記憶力か?日常でおもしろいことがあった時に「これブログに書こう」と思っても忘れてしまう。「忘れないように手帳に書いておこう」と思っても書いたことを忘れてしまう。どうやら「ほむほむ」にはなれないようだ。

さて、そういえば『蚊がいる』のことを一言も書いていない。いつものエッセイ集だが、巻末に掲載されている又吉直樹氏との対談がおもしろい。ほむほむがどんな態度で外の社会と対峙しているのか、短歌やエッセイで表現するのはなぜか。といった点が垣間見える。横尾忠則氏の装丁も素晴らしい。本屋で見てしまったら最後、きっと表紙買いしてしまう。だから本屋は危険だといつも思っているのだが、私はamazonで表紙買いしてしまった。

あぁ、ほむほむの様な文章が書きたいよ。ちょっと書いてみよう。

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日本製

日本製

正月に着物を着た際に下駄を靴箱から取り出した。ふと左の裏に「日本製」というシールが貼ってあることに気づき愕然とした。もう何度もこれを貼ったまま履いてしまった。エスカレーターで後ろに付けた人には確実に見えていたに違いない。貼ってあるだけでも恥ずかしいが、見た人はどう思っただろうか。「日本製じゃない下駄なんてあるのかよ」と思ったかもしれない。「左足にだけ貼ってあるのはひょっとしてこの人ハーフなのかもしれない。前に回って顔を見てみよう」「着物でただでさえ目立つのにこんなの付けて目立ちたがりさん」なんて思われたかもしれない。とても恥ずかしい。

恥ずかしいなら着物なんて着なきゃいいのにという声が聞こえてきそうである。しかし、着物着てると結構な確率で褒めてもらえる。身長だけが取り柄なのでなかなか褒めてもらえる機会がないのが、着物だと「素敵ですね」と言ってもらえる。それが着物に対しての台詞でも、お世辞だったとしても嬉しい。先日も天文館通りで休憩していると見知らぬおばあちゃん(かなり高齢の)が近づいてきた。人見知り激しい私は厳しい顔で知らんぷりをしてたのだけど、「着物が似合いますね」と笑顔で声をかけて立ち去った。これにはさっきまで怖い顔していた私も「ありがとうございますぅ」と笑顔になってしまった。

せっかくの正月だから着物を着たつもりでいたのだけれど、着物以外の服で○○の日に相応しいものってあるのだろうか。例えば、ジーパン。デニム=藍染め=藍は仲秋の季語らしい=秋に履きましょう。うん、ピンと来ない。ランニングシャツはどうだろう。ランニング=仲本工事=体操=体育の日に着ましょう。やはりピンと来ない。そう考えると正月だから着物というのも理由になってない気がしてきた。

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あぁ、やっぱり程遠い。

発売日:2013年9月13日
出版社:メディアファクトリー
232ページ
ISBN-10:4840154309
ISBN-13:978-4840154307
ブックデザイン:横尾忠則

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