南日本新聞 書評欄「郷土発おすすめ」 能瀬と読書 能瀬の読んだ本

2014_056 マーティン・ウィンドロウ『マンブル、ぼくの肩が好きなフクロウ』

(2014年11月30日南日本新聞 書評欄「郷土発おすすめ」)

信頼結んだ15年の記録

生まれてこの方、ペットらしいペットを飼った記憶がない(学生時代にイモリを飼っていたが、短期間で逃げられたためあまり覚えていない)。愛着を持って動物の世話をしたという記憶がないので、正直ペットを飼うことの素晴らしさが理解できなかった。

軍事研究家の筆者も私と同じ年齢30代までペットを飼った経験がなかったが、ひょんなことからフクロウとの共同生活をスタートする。フクロウはワシと同じ猛禽類に属し、そのかわいらしい風貌からは想像もつかないほど獰猛で簡単に飼える動物ではない。著者も1匹目のコキンメフクロウでの失敗を経て、モリフクロウのマンブルと15年間を共に過ごすことになる。

本書にはニつの楽しみ方がある。一つめはフクロウ研究の学術書として。著者は専門家ではないが、本書を読めばちょっとしたフクロウ博士になれる(私が手に取ったのも書店の理工書の棚だ)。大きさや位置の違う左右の耳からごくわずかな時間差で届く音を識別でき、およそ3万分の1秒の時差を認識できる点や鏡を見ずに全身の羽毛の状態を把握でき、人間で例えるなら手を使わずに寝グセをなおせる点、目的に応じて様々な鳴き声を使い分ける点などは、「ホーホー」という鳴き声しか知らなかったフクロウのイメージを大きくに塗り替えてくれた。

もうひとつの楽しみ方は、日記形式の記録を通じてフクロウのいる生活を疑似体験できる点だ。成長するにつれて飼い主以外に攻撃的になるのは厄介だが、自分をつがいの相手と認識し、羽づくろいを求めてきたり、食べかけのヒヨコを食べさせようと何度も身を乗り出してきたりというエピソードには自分も飼ってみたいと思わずにはいられない。

本書を読んで、自分を無条件に信頼してくれる存在がいるということが、人生に与える影響について深く考えさせられた。これを期に私も何か変わった動物を飼ってみようかしら。

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