重富海岸に行く前には図書館にも行った。
積ん読が溜まっているので自分の本を借りる気は全くなく、息子の気晴らしに絵本でも読まそうと思って来ただけだった。
のつもりが、気になる本が3冊も見つかり息子の分は2冊までになった。
絵本コーナーには先客が。赤ちゃんとちょっとだけ大きなお姉ちゃんを連れたお母さん。
一人で子どもの絵本を選ぶお母さんがもうひとり。
ここのコーナーに来ると緊張する。黙って遊んでいるうちはいいが、いつ息子が泣き出したり大きな声で騒ぎ始めるか分からない。
私の心配をよそに静かに遊んでいた。
絵本を選んでいると隣の赤ちゃんが泣きだした。お母さんは赤ちゃんをなだめる。
すると男性の図書館員が近づいてきて声をかけた。
「大丈夫かなぁ?」
こちらの図書館の女性の司書さん達は子どもに優しい。男性も優しいんだなぁと思ったら次の瞬間
「あんまり泣くようでしたら外にお願いします」
お母さんは泣き止まそうとしていて反応しないでいると、もう1回同じ台詞。
図書館が静かにすべき場所であるのは分かっている。しかし、泣き始めて数十秒しか経っていない。そして、お母さんが放置しているならまだしも泣き止まそうと努力をしている。ちょっと泣いたくらいで出て行けと言われたら、赤ちゃんを連れて行ける場所なんて無くなってしまう。家でじっとしていろと言うのだろうか。家以外にも公園や児童館など騒いでいい場所があるじゃないかと言うかも知れない。では子育て中のお母さんは限られた世界で生活しろということだろうか。では、あなたがやってみてください。
子育ては孤独だ。親と同居することが当たり前ではなく、外出するとしても買い出しか、行けたとしても子育てサークル。限られた世界の中での生活は想像以上にストレスが溜まる。お母さんだってたまにはランチに行きたいし、オシャレだってしたいだろう。昔から母親は我慢していたという意見もあるだろうが、生活環境の違う昔と今を比べるのはナンセンスだろう。ちょっと前に飛行機に赤ちゃんを乗せるな論争があったが、あれも「あんたが赤ん坊の時は簡単に飛行機乗れる時代じゃなかったろう」と言いたい。
泣いたら出て行けと言われたらお母さんは気軽に図書館に行けなくなる。せっかくの子どもが本に触れる機会も減ってしまう。ただでさえ本を読む人が少なくなっている昨今である。そんなに他のお客さんから怒られるのが怖いのだったら、絵本コーナー・児童書コーナーを防音にしていただくなりして安心して子連れで来られる図書館にしていただければと思う。その前に図書館員さんも他の大人ももう少し子どもに寛容になってもらえればそれに越したことはない。
小さなうちに色んな経験をすることが子どものために良いと信じています。お母さんが(お父さんも)安心して、そして楽しんで子育てできる社会になるといいですね。
行っておくが、私はしつけのなっていないガキが大嫌いである。図書館で走り回ったり、雰囲気のいいレストランで大騒ぎする子どもも、それを放置している親も大嫌いだ。色んなところに連れて行くのは構わないが、連れて行くからにはそれなりのしつけをするべきだとは思っている。かく言う私も息子を連れて落語、演劇、南日本文学賞公開選考会など果敢に連れて行き、落語は5分も我慢できずに妻と退出、演劇は90分いい子にしていたものの激しい夜泣き、南日本文学賞公開選考会はずっとおとなしくしていたのに終わり際に突然「イェイ!」と言い出し逃げ帰るという、失敗を繰り返している。これからも皆さんに迷惑のかからない程度に息子との外出を楽しみたいと思う。